認知症の進行を防ぐため、環境調整とこころの刺激を行い、脳の機能を呼び起こすことを試みます。規則正しい生活のリズムを作ることや、人と接する機会を増やすことは重要とされます。ご家族や地域の方が関わって支援をすることや、生活習慣病に対する通院加療をしっかり行うことによって、認知機能が改善することも時に経験します。
薬物治療としては、脳の活動性を助けて活発になることで生活の質を改善させる薬や、神経の活動を円滑にさせて不快な症状を軽減する薬が使われます。これらは対症療法としての薬です。
最近、アミロイドβと呼ばれるアルツハイマー病発症の始まりとなるものを取り除くことで、認知症の進行を抑える薬が実用化されました。現状では薬の適応は早期のアルツハイマー病のみで、副作用の問題などもありますので、対象となる患者さんは限られています。今後、さらに新しい薬の開発が期待されています。
予防としては、高血圧症や糖尿病、肥満など生活習慣病の管理が重要です。日常生活の活動性を維持することが勧められます。喫煙やアルコール飲み過ぎは悪影響となります。また、難聴は認知症のリスクにつながります。