続く頭痛

何日も続く頭痛に悩みソファでこめかみを押さえる女性

「頭痛がもう何日も続いている」「痛み止めを飲んでも、またすぐ痛くなる」。
頭痛が続くことに不安を感じる方もおられると思います。

頭痛外来には、1〜2日続いて心配になって来院される方もおられれば、1〜2か月我慢を重ねてから来られる方もおられます。
あまりに痛みが強い日は仕事を休まざるを得ず、家事も手につかなくなることもあり、このような続く頭痛は、生活の質の低下につながります。

このページでは、脳神経外科専門医・頭痛専門医の視点から、続く頭痛をどう見立て、どう治療していくのかをお伝えします。

頭痛が続くときにまず確かめたいのはいつもと違うかどうか

「頭痛が何日続いたら、病院に行くべきですか?」‐日数そのものはあまり問題ではありません。

日数よりも普段と違う頭痛かどうかが受診の目安

普段と違う頭痛であれば、病院へ行くべきです。

何日目から危険、という決まった線引きはありません。1日目でも、いつもの頭痛と明らかに違えば受診のサインです。
長年の頭痛もちの方でも、痛み方や回数が変わってきたら一度調べておく意義があります。

  • 今までに経験したことのない痛み方をしている
  • いつも効いていた薬が効かなくなった
  • 頭痛の回数や強さが、以前より増えてきた

おかしいと感じたら放置せずに受診を

頭部MRI画像を見せながら患者に説明する医師

「おかしいと感じるようなら、放置せずに受診が必要です。」
頭痛は「よくあること」かも知れませんが、何かおかしい、続いて不安に感じるようであれば受診が望ましいです。

受診して大きな病気が見つからなければ、頭痛への対策に焦点を絞ることができます。
脳の病気の多くは、MRIなどの画像検査で確かめることができます。

続いている期間で考えられる原因は変わる

頭痛の解説では「片頭痛」「緊張型頭痛」など種類ごとに説明されることが一般的です。
一方、脳神経外科医が診察の最初に確かめるのは「その頭痛は、いつから、どのように始まった?」です。
頭痛の続く期間によって、まず疑う病気の候補が変わるためです。

数時間から数日続く頭痛は脳の血管の病気を考える

数時間から数日続く頭痛の場合、脳神経外科ではまず脳動脈解離や脳血管攣縮、あるいはくも膜下出血など、脳血管の病気の可能性を考えます。

脳動脈解離は、脳の血管の壁が裂ける病気です。くも膜下出血は、脳の表面の血管が破れて出血する病気。
脳血管攣縮(のうけっかんれんしゅく)は、脳の血管が一時的に強く縮む状態です。雷に打たれたような突然の頭痛を繰り返すことがあります。

もちろん、片頭痛の発作も4〜72時間ほど続くことがあります。だからこそ「いつもの片頭痛と同じか、違うか」の見極めが欠かせません。

1か月ほど続く頭痛は脳腫瘍や慢性硬膜下血腫を考える

「1カ月程度など慢性に続く頭痛の場合、脳腫瘍や慢性硬膜下血腫などを念頭に置いて診察をします」。

慢性硬膜下血腫は、頭を軽くぶつけてから数週間〜数か月たって、脳の表面にじわじわと血がたまる病気です。
高齢の方やお酒をよく飲む方に多く、ぶつけたこと自体を覚えていない方も少なくありません。
頭痛に加えて、物忘れ・ふらつき・手足の動かしにくさが出ることもあります。

脳腫瘍では、日に日に強くなる頭痛や吐き気を伴うことがあります。どちらもMRI検査で確認できる病気です。

何か月も何年も続く頭痛は慢性化した片頭痛や薬の飲み過ぎを考える

何か月も、あるいは何年も頭痛が続いている場合は、片頭痛や緊張型頭痛が慢性化しているケースが多く見られます。
痛み止めを頻繁に使い続けた結果、かえって頭痛が増える「薬剤の使用過多による頭痛」が重なっていることもあります。
命に関わる頭痛ではなくても、治療を見直すことで生活が楽になる可能性があります。

▶︎痛み止めが効かない・飲む回数が増えた方はこちら

期間ごとの考え方を、表にまとめました。

続いている期間まず考える主な原因受診の目安
数時間〜数日脳動脈解離・くも膜下出血など脳の血管の病気/片頭痛の発作いつもと違えば早めに受診。突然の激しい頭痛で動けない場合は119番
1か月前後脳腫瘍・慢性硬膜下血腫/緊張型頭痛早めに脳神経外科・頭痛外来へ
数か月〜何年も慢性化した片頭痛・緊張型頭痛/薬の飲み過ぎによる頭痛頭痛外来で治療の見直しを

頭痛が続く主な原因

頭痛の原因は、大きく2つに分けて考えることができます。

片頭痛や緊張型頭痛など頭痛もちの頭痛

片頭痛は、ズキズキと脈打つ痛みが4〜72時間ほど続き、吐き気や光・音のまぶしさを伴うのが特徴です。
緊張型頭痛は、頭全体を締めつけるような痛みが数日続くこともあります。
群発頭痛は、目の奥をえぐられるような激しい痛みが、1〜2か月ほど毎日のように続く頭痛です。

脳や血管などの病気が原因の二次性頭痛

くも膜下出血・脳動脈解離・脳腫瘍・慢性硬膜下血腫など、脳や脳血管などの病気が原因で起こる頭痛です。
発熱を伴う場合は髄膜炎、鼻づまりを伴う場合は副鼻腔炎のこともあります。
見逃してはいけない「こわい頭痛」は、ここに含まれます。

▶︎こわい頭痛とこわくない頭痛の違いはこちら

ストレスや姿勢など生活の影響

長時間のデスクワークやスマートフォンの姿勢、首や肩のこり、ストレス、睡眠不足や寝過ぎは、片頭痛や緊張型頭痛などの頭痛を悪化させる引き金になります。
ただし「生活のせいだろう」と自己判断せず、まず病気が隠れていないかを確かめることが大切です。

▶︎ストレスによる頭痛
▶︎肩こりと頭痛
▶︎朝の寝起き頭痛

すぐに受診してほしい続く頭痛のサイン

次のような症状がある場合は、日数に関係なく、できるだけ早く脳神経外科を受診してください。

突然の激しい頭痛や日に日に強くなる頭痛

突然の激しい頭痛に頭を抱える男性

「今までで一番強い」と感じる突然の頭痛は、くも膜下出血などの可能性があります。
日ごとに痛みが強まる頭痛は、脳腫瘍や慢性硬膜下血腫などのこともあります。

とくに突然の激しい頭痛で身動きがとれない場合は、ためらわず119番へ。

手足のしびれやろれつが回らないなどの症状を伴う

急に起こった頭痛に加えて、手足のしびれやまひ、ろれつが回らない、物が二重に見える・見えにくいといった症状がある場合は、脳卒中などの可能性があります。
症状が軽くても、すぐに受診してください。

吐き気や発熱と首の硬さを伴う

吐き気や嘔吐を伴う強い頭痛は、痛みが重いサインです。
発熱とともに首が硬くなる場合は、髄膜炎の可能性も。
発熱があるときは、受診前に医療機関へ電話で相談しましょう。

50歳を過ぎて初めて起こった頭痛

片頭痛は、本来は若い世代に始まることが多い頭痛です。
50歳を過ぎてから初めて頭痛が続くようになった場合は、ほかの病気が原因の可能性を考えて、詳しく調べることが勧められます。

内科で異常なしと言われても頭痛が続くときは

「内科で薬をもらったけれど、なかなか良くならない」。そんな悩みを抱える方は少なくありません。

内科での投薬は通常の診療

処方薬を前に頭痛が続き悩む女性

頭痛はありふれた症状です。そのため、内科で異常なしとされて投薬を受けることは、通常の診療としてよくあることです。

内科で薬を処方されること自体は、決して間違いではありません。
ただ、頭痛は100種類以上に分類され、タイプによって効く薬も対処法も異なります。
薬を飲んでも続く場合は、頭痛の種類をあらためて見極める必要があります。

頭痛が強いときや普段と違う痛みは頭痛専門医へ

投薬治療のあるなしにかかわらず、頭痛の程度が強い場合や、普段と違う痛みがある場合は、頭痛外来で専門的な診察を受けることが勧められます。

頭痛外来では、日本頭痛学会認定の頭痛専門医などが頭痛のタイプを見極めます。
受診の際は、医療機関の受付でマイナンバーカードを提示して薬剤情報の提供に同意すると、医師が過去の投与歴を確認でき、診断の手がかりになります。

続く頭痛の治療の進め方

続く頭痛の治療は、「原因を確かめる」ことから始まります。一般的な治療の流れをご紹介します。

まずは神経の診察とMRI検査で診断する

クリニックのMRI検査室で検査を受ける患者

治療は、まず頭痛の診断から始まります。
問診では、頭痛の始まり方や続いている期間、生活への影響を詳しく確認します。
そのうえで、手足の力や感覚、目の動きなどを確かめる神経の診察を行います。

必要に応じてMRIなどの画像検査を行い、脳の病気が隠れていないかを確かめます。
MRIは、放射線による被ばくがない検査です。

痛み止めと予防薬で段階的に頭痛を抑える

急を要する病気ではないと診断された場合、まずは痛み止めなどのお薬で、今ある痛みを和らげます。

頭痛が数週間〜数か月続くような場合は、頭痛を起こりにくくする「予防薬」を使います。
予防薬によって、頭痛の回数が減ること、そして痛み止めがより効きやすくなることが期待できます。

ただし、飲み薬の予防薬は「十分な効果がでるまで1-2カ月かかる」のが一般的です。
すぐに変化を感じなくても、根気強く続けていただくことが大切です。

痛みが強く、頻繁に起こる場合には、片頭痛の原因物質に直接働きかけるCGRP関連薬(注射あるいは内服薬)の使用を検討します。
効果が比較的早く現れることが特徴です。

痛みがおさまらないときは診断を見直して薬を調整する

治療を始めても痛みがおさまらないときは、「診断を再確認し、痛みを頓挫させるための適切な投薬を検討します」。
頓挫とは、続いている痛みの発作をいったん断ち切ること。痛みの経過を見ながら、お薬の種類や使い方を調整していきます。

どうしても頭痛のコントロールが難しい場合は、入院設備のある病院で治療を受けることも稀にあります。

※治療の効果には個人差があります。

治療のゴールは普段どおりの生活を取り戻すこと

頭痛は仕事や家事など毎日の暮らしを大きく損なう

片頭痛や群発頭痛は、痛みがとても強いことがあります。
仕事や家事に手がつかず、休まざるを得ない日も出てきます。

仕事をしていてもパフォーマンスが損なわれるため、社会的にも大きな損失となります。
頭痛は「たかが頭痛」ではありません。周囲に理解されにくい痛みだからこそ、きちんと向き合う必要があります。

頭痛を記録して経過を見ながら薬を選ぶ

スマートフォンで頭痛の記録をつける女性

「頭痛治療の目的は、頭痛による日常生活の支障を改善させて、通常の生活を取り戻すことです」。

そのために大切なのが、日々の頭痛の記録です。いつ、どのくらいの強さで痛んだか、薬は効いたか。
頭痛日記やスマートフォンの頭痛管理アプリで記録を続けると、経過に合わせてその方に合ったお薬を選びやすくなります。

治療を続けるうえで何より大切なのは「通常の日常生活が送れているかどうか」。
痛みの回数だけでなく、暮らしそのものが取り戻せているかが治療の物差しになります。

何年も続いた頭痛が新しい治療で改善することも

「特に最近は、CGRP関連薬で著明に頭痛が改善されることがあります」。
何年も続いた頭痛が治療によって楽になり、日常を取り戻していく方も多くおられます。

一方で、慢性に続いている頭痛の方の場合、治療に難渋することもやはりあります。
その場合も、お薬の組み合わせや使い方など、さまざまな工夫を重ねていきます。
すぐに答えが出ないこともありますが、それでも医師と相談しながらあきらめずに方法を探していくことが大切です。

頭痛が続くときのよくある質問

頭痛が何日続いたら病院に行くべきですか

A. 「何日たったら」という決まった目安はありません。日数よりも「普段と違う頭痛かどうか」が大切です。
いつもと違う痛み方、頻度や強さの変化があれば、早めに受診してください。突然の激しい頭痛で動けない場合は119番へ。

頭痛が1週間以上続くのは危険な病気ですか

A. 緊張型頭痛などでも1週間以上続くことはあり、すべてが危険な病気というわけではありません。
ただし、数日以上続く強い頭痛では脳の血管の病気や、1か月ほど続く頭痛では脳腫瘍や慢性硬膜下血腫なども考えられます。一度、脳神経外科で原因を確かめることをおすすめします。

毎日頭痛がするときは何科を受診すればいいですか

A. 脳神経外科や頭痛外来をおすすめします。内科でも頭痛の診療は受けられます。
ただ、薬を飲んでも続く場合や、いつもと違う痛みがある場合は、頭痛専門医による診断が役立ちます。

頭痛が続くときは必ずMRI検査を受けるのですか

A. 全員が受けるわけではありません。定期的に通院されていて、いつもと同じパターンの頭痛であれば、毎回の検査は必要ないこともあります。
初めて受診される方や、いつもと違う症状がある方には、検査が勧められます。

予防薬はどのくらいで効果が出ますか

A. 飲み薬の予防薬は、十分な効果が出るまで1〜2か月ほどかかるのが一般的です。
新しいCGRP関連薬は、比較的早く効果が現れることが特徴です。効果の出方には個人差があります。

頭痛が続いて不安な方へ

頭痛が続くのには、さまざまな原因があり得ます。
診断や治療は年々進歩しているため、これまで治療が難しかった頭痛でも、有効な治療が見つかる場合があります。

「いつまで続くんだろう」と一人で悩まず、まずは原因を確かめることから始めましょう。
つらい頭痛が続くときは我慢せず、頭痛専門医に相談してみてください。

記事監修者

院長紹介
院長 高瀬 卓志

院長略歴

  • 京都市出身、慶應義塾大学文学部中退、仮面浪人を経て、昭和63年大阪医科大学(現 大阪医科薬科大学)卒業、医学博士
  • 大阪府三島救命救急センター、大阪医科大学附属病院脳神経外科・麻酔科等にて臨床研修
  • 大阪医科大学脳神経外科助手、北野病院脳神経外科副部長、多根総合病院脳神経外科医長等を歴任
  • 平成20年11月、たかせクリニック開院

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