季節の変わり目は、脳卒中にかかる方が多いと言われています。いったん脳卒中にかかると、長期間の入院が必要になったり、場合によっては重い後遺症を残すこともあります。脳卒中にかからず、健やかに暮らせるための具 体例について考えたいと思います。
脳卒中とは、主に脳梗塞、脳出血、くも膜下出血を指しており、これらを総称して言います。また脳卒中の卒は卒倒の卒で「突然に」という意味、中というのは中毒の中で「あたる」という意味です。 つまり脳卒中とは「脳の病気で突然に何かにあたったようになる(倒れる)」ことを意味しています。このように脳卒中 は突然に起る病気ですので、日頃からの予防がとても大切となります。
日本人の三大死因はガンと心臓病と脳卒中と言われておりますが、死亡率から言いますと脳卒中は年々減少傾向にあります。しかしこれは患者数が減っているのでなく、医学の進歩により死亡率が下がったためと考えられます。そのため命は助かったが、手足に麻痺を残したり、言葉をうまく話せないなどの後遺症で悩まれている方が増えているというのが実情だと思います。 脳卒中に対する今までの見方では、予防もできない、治療もたいしてできないというように理解されていたのですが、最近ではどうすれば予防できるかというのが少しずつ分かってきており、治療も近年いろいろな治療法や薬がで きてきています。 脳卒中というのは心臓発作と同じように脳の発作であって緊急を要するような病気です。
このような症状があれば脳卒中の疑いがありますので、様子を見ないですぐに脳卒中専門の医師の診察を受けるようにしてください。これらの症状が明らかに当てはまれば、119番で救急車を呼んでください。 また脳卒中の内訳を調べると脳梗塞が6割以上を占めており、脳出血やくも膜下出血に比べ非常に多い割合で 発症しています。
脳梗塞は1回発症したらこれから先は大丈夫かと言えば全くそう言うことはありません。1回脳梗塞を発症した人 は4,5年のうちに約20~30%の確率で再発を起こすと言われています。健康な状態の人が脳梗塞を起こさないように することも大事ですが、再発を起こさないようにすると言うことも非常に大事です。 脳梗塞には3つのタイプがあります。
1つ目はラクナ梗塞で、脳の中の非常に細い血管が詰まって小さい範囲の脳梗塞を起こすことを言います。これは最近よく言われている「隠れ脳梗塞」や元気なんだけど検査してみたら脳梗塞 が見つかったというのがこのタイプの脳梗塞です。
次にアテローム血栓性脳梗塞があります。これはラクナ梗塞に比べ太い血管で起こる脳梗塞です。太い血管に 血栓が詰まってできるため梗塞となる範囲も広くなります。例えば、首の頚動脈や大動脈から脳に行っている血管が 枝分かれする比較的太いところに動脈硬化ができてアテローム血栓性脳梗塞を発症します。
3つ目は心臓の問題が原因で起こる脳梗塞で、これを心原性脳塞栓症と言います。一番多いのは、心房細動と いう心臓の病気があるのですが、心臓の中に血栓ができやすくなり、それが血流に乗って脳の血管に詰まってしまう ことで発症します。このタイプの脳梗塞は前者に比べて広い範囲で脳梗塞を起こしますので、場合によっては命にか かわる重症の脳梗塞になることがあります。
脳卒中には幾つか危険因子というのが分かっています。加齢による動脈硬化、高血圧や高脂血症や糖尿病などの生活習慣病による動脈硬化、心房細動や不整脈などの心臓病、そして喫煙、大量の飲酒などが危険因子と言われています。
MRIなどで偶然見つかった小さい脳梗塞も、将来脳卒中を起こす危険因子になることが分かっています。また、いわゆる遺伝の影響もあると考えられ、両親や兄弟に脳卒中を発症した人がいる場合は、脳卒中を発症する割合は 高いとされています。
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