耳の後ろが痛い――その痛み、放っておいて大丈夫?

※本コラムは脳卒中治療ガイドライン2021[改訂2025]に準拠しています。
診断・治療の方針や緊急性の判断には、医療機関での評価が必要です。

【耳の後ろが痛い】まず確認したいポイント

女性が耳の後ろ〜首を手で押さえ、痛みで目を閉じている

「耳の後ろがズキズキする」
「首の付け根から頭にかけて痛い」
――そんな症状で受診される方は少なくありません。

耳の後ろから後頭部にかけての痛みは、さまざまな原因で起こります。
軽い筋肉の緊張から、放置してはいけない血管や神経の病気まで幅広く、「ただの肩こり」と思って様子を見ていると、治療のタイミングを見逃してしまうこともあります。

まず、次の点をチェックしてみましょう。

  • いつから痛みが始まったか(突然か、じわじわ始まったか)
  • 今までにこのような痛みを経験したことがあったか
  • 痛みは片側か、両側か
  • ズキズキ・チクチク・ビリビリなど、どんな感じの痛みか
  • 首を動かすと痛みが強くなるか
  • 頭痛・めまい・しびれなど、他の症状を伴うか
  • 発熱や耳の症状(聞こえにくい、耳だれなど)はあるか

【こんな症状は要注意!】すぐに受診を

以下の症状がある場合は、重篤な病気が隠れている可能性があります。
我慢せず、速やかに医療機関を受診してください。

片側だけが突然、強く痛む

女性が片側の耳〜顎のあたりを手で押さえ、突然の強い痛みで顔をしかめている

これまでに経験したことがないほどの強い痛みが、突然始まった場合は要注意です。
特に「バットで殴られたような」「今まで感じたことのない激しい頭痛」は、脳や血管の異常を示すサインである可能性があります。

頭痛・めまいを伴う

女性が両手で頭を押さえ、頭痛・めまいで苦しんでいる

耳の後ろの痛みに加えて、頭痛やめまいが同時に起きている場合も注意が必要です。
特に、後頭部から首にかけての痛みとめまいが組み合わさって突然発症した場合は、椎骨動脈解離(後述)の可能性を考える必要があります。

しびれや違和感が広がる

女性が手の指・甲をもう一方の手でさすっている(しびれ・違和感の症状を表現)

顔・腕・手などにしびれや力の入りにくさが出てきた場合や、ろれつが回らなくなった場合は、脳梗塞など脳血管障害のサインかもしれません。
ためらわず救急受診してください。

耳の後ろが痛くなる代表的な病気

【1】後頭神経痛

後頭部から耳の後ろにかけて走っている「後頭神経」が刺激されることで起こる痛みです。
頭痛専門医の間では近年注目されている病気で、頭痛クリニックを受診する患者さんの約25%に認められるという報告もあります。

後頭神経痛の特徴的な症状は次の通りです。

  • 後頭部から頭頂部、または耳・こめかみ方向に向かって走るような、電気が走るような鋭い痛み
  • 数秒〜数分続く、発作的な痛み
  • 髪の毛を触られたり、枕に頭をつけたりするだけで痛い
  • 首の付け根や後頭部を押さえると強く痛む

後頭神経痛は、片頭痛や緊張型頭痛と同時に存在することも多く、両方の治療を行うことで初めて症状が安定するケースがよく見られます。片頭痛の薬を使っても頭痛が完全に良くならない方の中に、後頭神経痛が隠れていることがあります。

【2】片頭痛・緊張型頭痛

片頭痛は前頭部やこめかみの痛みだけでなく、後頭部や耳の後ろの痛みとして現れることもあります。
片頭痛に伴う首や後頭部の痛みは「片頭痛性頸部痛」とも呼ばれ、片頭痛発作中にのみ現れる特徴があります。

また、首や肩のこわばりが強い場合は、緊張型頭痛の一症状として後頭部痛が現れることもあります。

「首が痛いから整体やマッサージに行く」という方も多いですが、頸部への強い施術で、後述の椎骨動脈解離を起こしうることが知られています。
医療機関で診断を受けるまでは、決して行かないでください。

【3】頸原性頭痛(けいげんせいずつう)

首(頸椎)の骨や関節・筋肉の異常が原因となって起こる頭痛です。
後頭部・耳の後ろ・首にかけて痛みが広がり、首を動かすと症状が悪化するのが特徴です。

交通事故(むちうち)、加齢による頸椎症、長時間のスマートフォン・パソコン使用などが原因になることがあります。

【4】椎骨動脈解離・脳梗塞・脳出血(要注意の病気)

後頭部・耳の後ろ・首の後ろの「突然の強い痛み」は、椎骨動脈解離のサインである可能性があります。

椎骨動脈解離とは、脳に血液を送る「椎骨動脈」という血管の内側に亀裂が入る病気です。
頸椎(首の骨)に沿って走っているため、首の強い回旋(首を大きく回す動作)、カイロプラクティックなどの頸部マニピュレーション、交通事故などがきっかけになることがあります。

この病気は、後から脳梗塞や脳出血につながるリスクがあるため、早期発見・治療が非常に重要です。

【椎骨動脈解離を疑う症状】

  • 後頭部〜耳の後ろ〜首の後ろへの突然の強い痛み
  • これまでに経験したことのない種類の頭痛・首の痛み
  • その後にめまい・吐き気・ものが二重に見える・顔や手のしびれなどが続く

このような症状のうち一つでもある場合は、ためらわず救急医療機関・脳神経外科・脳神経内科を受診してください。MRIやMRAで、脳や脳血管の状態を確認することができます。

【5】中耳炎・外耳炎・リンパ節炎

耳の感染症(中耳炎・外耳炎)では、耳の中の痛みとともに、耳の後ろや周囲にも痛みが広がることがあります。
また、首やあごの周囲のリンパ節が腫れるリンパ節炎でも、耳の後ろに痛みや腫れを感じることがあります。
発熱を伴う場合は、耳鼻咽喉科への受診が適切です。

頭痛と同時に起こる場合の注意点

耳の後ろの痛みに頭痛が伴う場合は、痛みの「種類」と「始まり方」が重要な手がかりになります。

痛みの程度と持続時間の目安

  • 数秒〜数分の電気が走るような鋭い痛み

    →後頭神経痛の可能性 (首の付け根を押さえると痛む場合はさらに疑い濃厚)

  • 数時間〜丸1日続く、ズキズキ・ドクドクする痛み(光・音が辛い)

    →片頭痛の可能性

  • 長時間続く、締め付けるような鈍い痛み

    →緊張型頭痛・頸原性頭痛の可能性

  • 突然始まった、これまでにない強い痛み(数分〜数時間続く)

    →椎骨動脈解離・くも膜下出血など血管性の病気の可能性
    ※早急に受診が必要

受診を急ぐべき症状

次の症状が一つでも当てはまる場合は、すぐに救急外来を受診してください。

  • 今まで経験したことがない種類・強さの頭痛が突然始まった
  • 後頭部〜首の激しい痛みとともに、めまい・吐き気が現れた
  • 顔・腕・体の片側にしびれや麻痺がある
  • ろれつが回らない、言葉が出にくい
  • 視野が欠ける、ものが二重に見える
  • 意識がもうろうとする

何科に行けばいい?診療科の選び方

耳の後ろの痛みは、原因によって受診すべき科が異なります。目安として参考にしてください。

まず救急外来・脳神経外科・脳神経内科へ

男性医師がMRIモニターの前で女性患者に脳画像を見せながら説明している

  • 今までにない強い痛み
  • めまい・しびれ・麻痺・言語障害を伴う

→椎骨動脈解離・脳梗塞・くも膜下出血などを除外するための検査が必要です

頭痛専門外来・脳神経内科・神経内科へ

「頭痛専門外来」のサインがある、清潔で明るいクリニックの廊下・入口

  • 繰り返す後頭部・耳の後ろの痛み
  • 片頭痛・緊張型頭痛と言われたことがある
  • 首の付け根を押すと電気が走るような痛みがある
  • 頭痛の薬が効きにくい

→後頭神経痛・片頭痛・緊張型頭痛・頸原性頭痛などの診断・治療

整形外科・脳神経外科へ

MRI機器・診察台・脊椎モデルが置かれた整形外科・脳神経外科の診察室内観

  • 首の動きが制限されている
  • 腕や手のしびれ・力の入りにくさがある
  • 交通事故などで首を傷めたことがある

→頸椎症・椎間板ヘルニアなど頸椎疾患の可能性

耳鼻咽喉科へ

マスクをした耳鼻咽喉科の医師が内視鏡を使って患者の耳を診察している

  • 発熱がある
  • 耳が痛い・聞こえにくい・耳だれがある
  • のどの痛みや腫れがある

→中耳炎・外耳炎・リンパ節炎などの感染症の可能性

脳神経外科たかせクリニックからのメッセージ

「耳の後ろの痛み」「後頭部の痛み」は、頭痛専門外来で最もよく見られる訴えのひとつです。
後頭神経痛は以前に比べて認知度が上がってきましたが、まだ見逃されていることも少なくありません。

片頭痛と後頭神経痛は合併することが多く、どちらか一方だけ治療しても症状が残ることがあります。
「頭痛の薬を飲んでも後頭部の痛みが残る」という方は、ぜひ一度ご相談ください。

また、突然の強い後頭部痛・首の痛みは、椎骨動脈解離をはじめとした血管の病気を除外することが最優先です。
「様子を見よう」と思わず、早急に医療機関へ受診することをお勧めします。

参照:脳卒中治療ガイドライン2021[改訂2025]

参照:国際頭痛分類第3版

Current Pain and Headache Reports (2025) 29:101

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初診は予約不要です。
診察の上、頭部MRIは随時施行しています。
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休診日 木曜・土曜日午後・日曜・祝日

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