肩こりと頭痛

肩こりと頭痛が同時に起こるのはなぜ?

肩こり・首こりと頭痛に悩む女性を並べた、噛み合わせの不調による全身症状のイメージ

「頭が痛いと思ったら肩もこっている」「肩こりがひどくなると頭痛が来る」
――そんな経験をお持ちの方は少なくないと思います。
肩こりと頭痛は、脳と首・肩の神経が結びついているために、同時に起こりやすいのです。

肩こりが頭痛につながる仕組み

首や肩の筋肉には、頭の後ろから側頭部にかけて広がる神経が走っています。肩や首の筋肉が長時間緊張した状態が続くと、この神経が刺激されて「後頭部や頭全体が締め付けられるような痛み」が生じます。これが「緊張型頭痛」の典型的な起こり方です。

また、首の神経(上位頸神経)と顔や頭への感覚を伝える三叉神経は、脳幹にある「三叉神経頸髄複合体(TCC)」という場所で合流しています。
このため、首・肩からの刺激が頭の痛みとして感じられるのです。

緊張型頭痛が起こりやすい理由

緊張型頭痛は、頭蓋・頸部の筋肉が過剰に緊張し続けることが主な引き金になります。
デスクワークやスマートフォン操作で首が前に出た姿勢を長時間続けると、首や肩の筋肉に負担がかかります。
その結果、筋肉内に痛みを引き起こす物質が蓄積し、頭痛につながります。ストレスや睡眠不足も筋肉の過緊張を強めます。

肩こり頭痛の主な原因

長時間のデスクワークやスマホ姿勢

夜遅くまでデスクでパソコンに向かって集中して作業する男性

猫背や頸が前に出た姿勢は、頸部の筋肉に負荷をかけます。
同じ姿勢を何時間も続けていると、僧帽筋・胸鎖乳突筋・後頭下筋群などが緊張し、頭痛が起こりやすくなります。

筋肉の緊張と血行不良

肩や背中の血行不良に悩む女性と、血管内の血流をあらわした拡大イラストを組み合わせた血行不良のイメージ

筋肉が緊張すると血管が圧迫されて血流が悪くなり、酸素や栄養が筋肉に届きにくくなります。
老廃物も滞り、筋肉がさらに硬くなる悪循環が生まれます。
肩甲骨まわりや首の奥に「しこり」のように感じる部分は「筋筋膜性トリガーポイント」と呼ばれ、ここを押すと頭部に痛みがはしることがあります。

ストレスや自律神経の乱れ

精神的なストレスは、無意識のうちに首・肩・顎に力を入れさせます。
また、自律神経の乱れは筋肉の緊張や血流調節にも影響し、頭痛を悪化させることがあります。

肩こり頭痛が起こりやすい人の特徴

首や肩に力が入りやすい人

緊張しやすい性格の方、デスクワーク中に肩をすくめるクセがある方、顎を食いしばる方は、日常的に頸部の筋肉に過剰な力が入りやすく、緊張型頭痛が起こりがちです。

運動不足・冷えを感じやすい人

運動不足は筋肉の持久力・柔軟性を低下させ、少しの負担でも疲れやすい状態となります。
そこに冷えが加わると血流は悪化し、筋肉のこわばりが強くなります。首まわりを、冷房や薄着などで冷やさないことにも注意が必要です。

肩こりからくる頭痛の正しい対処法

自宅でできるセルフケア

頭に手を添えて首筋を伸ばすストレッチをする白いタンクトップ姿の女性

  • 首や肩のゆっくりとしたストレッチ:無理なく行い、痛みが出る場合は中止する
  • 温熱療法:入浴や温熱シートで首・肩を温める(急性期の炎症がある場合は除く)
  • 適度な有酸素運動:ウォーキングや水泳など。定期的な有酸素運動は頭痛の頻度を下げる効果があることが研究で示されています
  • 姿勢の見直し:パソコン画面の高さを目線に合わせる、背もたれを使うなど
  • 1時間に1度の休憩:こまめに立ち上がり、首・肩を動かす

やってはいけないNG対処

水の入ったコップを手に、錠剤の薬を飲もうとする女性

  • 痛みが出るほど首を強くまわす:関節や靭帯を傷める可能性があります
  • 痛み止めを毎日飲む:週に2〜3日を超えて鎮痛薬を使い続けると「薬物乱用頭痛」に移行することがあります。市販薬であっても使用頻度には注意が必要です
  • 湿布だけに頼る:根本原因(姿勢・筋緊張)が残ったままでは改善しません

肩こり以外が原因の頭痛に注意

片頭痛や他の頭痛との違い

片頭痛も、肩こりに関係することもあります。
「肩こりがひどいから頭痛がする」と思っていても、実は片頭痛が主体で、肩こりはその一症状や前触れである場合があります。

肩こりが片頭痛の「予兆」として起こる場合

片頭痛の発作が始まる数時間〜半日前から、首・肩のこわばりや不快感を感じることがあります。
これは片頭痛そのものの神経学的なプロセスの一部であり、「肩こりが頭痛を引き起こした」のではなく「片頭痛が始まる際に首・肩の症状が先行した」と考えられます。
この場合、肩こりのケアよりも片頭痛の急性期治療(CGRP受容体拮抗薬などの早期服用)が有効なことがあります。

肩こりが片頭痛に「合併」している場合

片頭痛を持つ方の多くは、肩こりや頸部の筋肉の問題を合わせて持っています。
この場合、頸部の筋肉の機能異常が片頭痛とは独立して存在し、片頭痛発作を誘発したり悪化させたりする可能性があります。
対処法としては、片頭痛の予防療法(内服薬や注射薬)と並行して、頸部の理学療法・運動療法などを組み合わせると効果的なことがあります。

「ただの肩こり」と「片頭痛に伴う首・肩の症状」の見分け方として、以下の点が参考になります

  • 緊張型頭痛(肩こり頭痛)は、締め付けられるような、軽〜中等度の痛みで、動いても悪化しない
  • 片頭痛は多くの場合、片側の拍動痛で、吐き気や光・音への過敏を伴い、動くと悪化する
  • 両者が同時に存在することも珍しくない

受診を検討したほうがよいケース

以下に当てはまる場合は、頭痛専門の医療機関への受診をお勧めします。

  • 頭痛が月に4日以上ある
  • 市販薬を週に2〜3日以上飲んでいる
  • 頭痛のために仕事や日常生活に支障がある
  • 今まで経験したことのない激しい頭痛(「いきなり殴られたような」痛み)
  • 発熱・首の硬直を伴う頭痛(髄膜炎などの可能性)
  • めまい・しびれ・ろれつが回らないなど神経症状を伴う頭痛
  • 50歳以降に初めて現れた頭痛
  • 頭痛の性質や頻度が最近急に変わった

肩こりと頭痛は日常的に起こる症状ですが、背景に片頭痛が潜んでいることもあります。正確な診断と適切な治療により、生活の質を大きく改善できます。気になる方は、一度専門医に受診してください。

参照:頭痛の診療ガイドライン2021.

Rees TA, et al. Neck pain in migraine: a narrative review and steps to correct evaluation and treatment. Cephalalgia 2025; 45(10): 1–17.

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