台風と頭痛

台風が近づく窓辺で頭痛に悩む女性

台風が近づくと、頭が重くなる。天気予報より先に、頭痛で台風の接近に気づく。
そんな経験はありませんか。

台風の時期の頭痛は、気のせいではありません。気圧の変化が頭痛の引き金となることが知られています。

このページでは、脳神経外科専門医・頭痛専門医の視点から、台風で頭痛が起こるしくみと対処法をお伝えします。
あわせて、台風のたびに寝込まないための予防の考え方もご紹介します。

台風が近づくと頭痛が起こりやすいのはなぜか

気圧の低下が内耳や自律神経に影響する

台風は、中心に向かって気圧が大きく下がる低気圧です。
接近とともに気圧が短い時間で急に下がるため、体はその変化に対応しきれなくなります。

気圧の変化を感じ取るセンサーは、耳の奥にある内耳にあると考えられています。内耳は、体のバランスを保つ働きも担う器官です。
内耳が気圧の低下を感じると、その情報が脳に伝わり、自律神経のバランスが乱れます。
その結果、脳の血管が広がったり、痛みを伝える神経が刺激されたりして、頭痛が起こりやすくなるといわれています。

▶︎気圧と頭痛のしくみはこちら

気圧の変化で頭痛が起こりやすいのは片頭痛の方

台風などの気圧の変化で頭痛が起こりやすいのは、片頭痛の方に多い傾向があります。

片頭痛は、ズキズキと脈打つような痛みが4〜72時間ほど続き、吐き気や光・音のまぶしさを伴う頭痛です。
もともと片頭痛がある方は、脳が刺激に敏感な状態にあるため、気圧の変化という刺激でも発作が起きやすくなります。

天候の変化による不調は「天気痛」や「気象病」と呼ばれることもあります。

頭痛の記録から見える台風と頭痛の関係

普段は頭痛が少ない方でも台風のあとに頭痛が増える

頭痛外来では、定期的に通院している方に日々の頭痛を記録していただきます。
頭痛日記や、スマートフォンの頭痛管理アプリを使う方法です。

台風が過ぎたあとに記録を振り返ると、はっきりとした変化が見られることがしばしばあります。
普段は頭痛が少なく落ち着いていた方でも、いつもより頭痛の日数が多く、痛みも強かったことがわかったりします。

頭痛を記録すると天気との関係が見えてくる

雨の日にスマートフォンで頭痛の記録を確認する女性

「なんとなく天気が悪いと頭が痛い」という感覚も、記録を続けると確かな傾向として見えてきます。
いつ、どのくらいの強さで痛んだか、薬は効いたか。天気や気圧の変化とあわせて振り返ることで、ご自身の頭痛のパターンがわかります。

パターンがわかれば、医師と相談しながら治療を考えるときの大切な手がかりになります。

台風で頭痛が起きたときの対処法

痛み始めたら早めに頭痛薬を飲む

頭痛の痛み始めに頭痛薬を飲む男性

台風のときの頭痛が片頭痛によるものであれば、痛み始めの早い段階で頭痛薬を飲むことがポイントです。
痛みが強くなってからでは、薬が効きにくくなることがあります。

ただし、頭痛薬の飲み過ぎには注意が必要です。
月に10日以上飲む状態が続くと、かえって頭痛が増える「薬剤の使用過多による頭痛」を招くことがあります。

▶︎頭痛薬が効かない・飲む回数が増えた方はこちら

吐き気が出る前の酔い止めは理にかなっている

台風の頭痛対策として「酔い止めが効く」という話を聞いたことがあるかもしれません。これには医学的な理由があります。

片頭痛では、三叉神経という顔や頭の感覚を伝える神経の刺激が、脳幹部や視床という脳の中枢に伝わります。
そして延髄にある嘔吐中枢が刺激されることで、吐き気や嘔吐が起こります。
吐き気が出る前に酔い止めを飲むことは、理にかなった対処といえます。

市販の酔い止めを使う場合は、ほかに飲んでいる薬との飲み合わせを薬剤師に確認しましょう。

心地よいと感じるマッサージは試してみる価値がある

暗く静かな部屋で額を冷やして休む女性

耳をマッサージする、首や肩をほぐすといった方法も広く紹介されています。
医学的な効果がはっきり確かめられているわけではありません。
それでも、ご自身が心地よいと感じるものであれば、試してみる価値はあります。
一方で、強く揉んだり、首を急にひねったりするのは避けましょう。

片頭痛の痛みが強いときは、光や音を避けて、暗く静かな部屋で横になって休むと楽になることが多いです。
こめかみや首の後ろを冷やすと、痛みが和らぐこともあります。
反対に、首や肩のこりからくる締めつけるような頭痛では、温めて血行をよくする方が楽になることがあります。
ご自身の頭痛のタイプに合わせて、心地よい方法を選びましょう。

台風の前だけでなく普段からの予防が大切

天気に合わせて先回りするのは難しい

「台風が来る前に、何か手を打てないか」と考える方は多いでしょう。
ただ、天気のことですので、台風に合わせて前もって対処するのは難しいのが実際のところです。

台風の進路や接近のタイミングは直前まで変わりますし、気圧の下がり方も台風ごとに違います。
天気予報に合わせて薬を先回りして飲む方法は、現実的ではありません。

普段から予防薬で頭痛を軽くしておく

頭痛の予防治療について患者に説明する医師

もともと片頭痛が強い方は、台風など気圧の変動で頭痛が悪化し、仕事を休んだり、家事ができなくなったりすることがあります。

そうした事態をできるだけ避けるには、普段から予防薬で治療を行い、頭痛そのものを軽くしておくことが有効です。
台風のときだけ対処するのではなく、日頃の治療で備えておくという考え方です。

予防薬は、頭痛を起こりにくくし、起きたときの痛みを軽くするための薬です。
一般的には、強い頭痛が月に何回も起こる場合や、頭痛で仕事や家事に支障が出ている場合に検討されます。
台風の時期に毎回寝込んでしまう方も、医師に相談してみるとよいでしょう。

新しい予防薬で台風のときの頭痛が軽く済むことも

近年は、片頭痛の原因物質に働きかけるCGRP関連薬という新しい薬が使えるようになりました。
注射薬や内服薬があり、治療によって多くの場合、頭痛の程度が軽くなっていきます。

頭痛が軽くなると、台風などで頭痛が起こったときの辛さも軽く済みます。
生活への支障をあまり感じずに過ごせるようになったという方もいます。

※治療の効果には個人差があります。

台風の時期に気をつけたい血圧と脳卒中

気圧の低下が血圧を上げて脳出血のリスクにつながる可能性

台風の影響は、頭痛だけにとどまりません。
気圧の低下が血圧の上昇を通じて、脳出血やくも膜下出血のリスクにつながる可能性が、研究で指摘されています(※)。

脳出血やくも膜下出血は、命に関わる病気です。突然の激しい頭痛や意識の変化、手足のまひなどで発症します。
台風の時期は、頭痛だけでなく血圧の変化にも目を向けることが大切です。

高血圧の方は家庭で血圧を測る習慣を

家庭で血圧を測る男性

特に高血圧症で治療中の方は、家庭で血圧を測る習慣をつけ、血圧のコントロールに注意することが勧められます。
台風が近づく時期に血圧が普段より高い状態が続く場合は、かかりつけの医師に相談しましょう。

▶︎血圧と頭痛の関係はこちら

※参考文献:Environment International 205 (2025) 109906

気圧のせいと決めつけずに受診したい頭痛

今までに経験したことのない頭痛は検査を

台風の時期の頭痛は、つい「気圧のせい」と考えがちです。
しかし、気圧のせいに限らず、どのような頭痛でも注意したいことがあります。
今までに経験したことがないような頭痛のときは、脳や脳の血管に問題がないか、専門医を受診して検査を受けることが勧められます。

突然の激しい頭痛や手足のしびれを伴うとき

次のような症状がある場合は、台風の時期であっても、早めに脳神経外科を受診してください。

  • 突然始まった激しい頭痛、日に日に強くなる頭痛
  • 手足のしびれやまひ、ろれつが回らない、物が見えにくい
  • 吐き気や嘔吐を伴う強い頭痛、発熱や首の硬さを伴う頭痛

突然の激しい頭痛で身動きがとれない場合は、ためらわず119番に連絡しましょう。

▶︎こわい頭痛とこわくない頭痛の違いはこちら

台風と頭痛のよくある質問

台風の何日前から頭痛が起こりますか

A. 個人差がありますが、台風が近づいて気圧が下がりかけたときに強い頭痛が起こることがあります。
台風の進路や気圧の下がり方によっても変わるため、日数で決まった目安はありません。頭痛を記録しておくと、ご自身の傾向がわかりやすくなります。

台風で頭が痛いときに市販の頭痛薬を飲んでもいいですか

A. 痛み始めの早い段階で飲むことは、有効な対処法のひとつです。
ただし、月に10日以上飲む状態が続くと、薬の飲み過ぎによる頭痛を招くことがあります。飲む回数が増えてきたら、医師に相談しましょう。

台風の頭痛は何科を受診すればいいですか

A. 脳神経外科や頭痛外来が適しています。
台風のたびに寝込むほど頭痛が強い場合は、片頭痛の可能性もあり、予防薬などの治療で頭痛を軽くできることがあります。

気圧で頭痛が起こりやすいのはどんな人ですか

A. 気圧の変化で頭痛が起こりやすいのは、片頭痛の方に多い傾向があります。
もともと片頭痛がある方は、台風の時期に頭痛が強くなりやすいため、普段からの治療が大切です。

台風が来るたびに憂うつな方へ

頭痛もちの方は、台風など気圧が下がりかけたときに強い頭痛を起こすことがあります。

普段から新しいCGRP関連薬を含めた適切な頭痛治療を行うことで、頭痛が起こっても軽い程度で済むことが期待できます。
寝込んだり、生活に支障が出たりせずに過ごせる可能性があります。

頭痛が強くなってから対処するのではなく、次の頭痛に備えて治療を受けておく。
それが、頭痛とうまく付き合い、快適な毎日を送るための近道です。

記事監修者

院長紹介
院長 高瀬 卓志

院長略歴

  • 京都市出身、慶應義塾大学文学部中退、仮面浪人を経て、昭和63年大阪医科大学(現 大阪医科薬科大学)卒業、医学博士
  • 大阪府三島救命救急センター、大阪医科大学附属病院脳神経外科・麻酔科等にて臨床研修
  • 大阪医科大学脳神経外科助手、北野病院脳神経外科副部長、多根総合病院脳神経外科医長等を歴任
  • 平成20年11月、たかせクリニック開院

お問い合わせ

頭痛のことでお困りでしたら大阪の脳神経外科たかせクリニックご相談ください。

TEL:06-4393-9988

初診受付は、9:00~11:30/16:30~18:00

初診・再診とも、当日Web予約できます。
予約なしでも順番で診療します。

診察の上、頭部MRIは随時施行しています。
なるべく早めの時間にご来院ください。

休診日 木曜・土曜日午後・日曜・祝日

PAGETOP