片頭痛の痛み止め、いちばんよく効くのはどの薬?
片頭痛に対する痛み止めは何種類もあり、つい最近にも新しい治療薬が発売されています。片頭痛でつらい痛みが起こったとき、どの薬を使えばいちばん良いのかは大きな問題です。最近、広範囲なデータを分析した結果が発表されていたのでご紹介します。

片頭痛の痛み止めとしては、トリプタンと呼ばれる薬がよく使用されます。今回の検討でもトリプタン系、とくにエレトリプタン(レルパックス)、リザトリプタン(マクサルト)、スマトリプタン(イミグラン)、ゾルミトリプタン(ゾーミッグ)は、頭痛が起こってから2時間後の痛み消失率が高いことが明らかにされています。
なおここには示されていませんが、ナラトリプタン(アマージ)は緩やかに効果を発揮するトリプタンで、月経時の片頭痛など長時間続く痛みに効果がある薬です。頭痛発生時にナラトリプタンと同時にロキソプロフェン(ロキソニン)などの鎮痛薬を同時に飲むことで、鎮痛効果を早くすることができます。

一方24時間後の痛み消失率を見ると、イブプロフェン(ブルフェン、イブなど)とエレトリプタン(レルパックス)が優れている結果になっています。
イブプロフェン(ブルフェン、イブなど)やロキソプロフェン(ロキソニン)など通常の鎮痛薬でも、片頭痛に対して有効なことは多いです。ただしこれらの鎮痛薬は入手しやすいだけに使い過ぎにつながりやすく、鎮痛薬の使いすぎによる頭痛を起こしてしまうことがあります。このため、通常の鎮痛薬でも内服の仕方には注意が必要となります。

効果は強力なトリプタン系ですが、胸部の不快感などの副作用があるために、片頭痛の痛みが強くても内服できない方はしばしばおられます。
またトリプタン系薬には血管収縮作用があるため、高血圧症が重い方、脳梗塞や心血管疾患などのある方には処方することができません。

最近、リメゲパント(ナルティーク)という新しい片頭痛治療薬が使えるようになったことをご存じの方も多いと思います。またもう一種類の片頭痛治療薬として、ラスミジタン(レイボー)という薬があります。
リメゲパント(ナルティーク)は痛みを抑える作用としては中程度となりますが、副作用が少ないことが長所として示されました。血管収縮作用がなく、また鎮痛薬の使いすぎによる頭痛を起こさないとされます。
ラスミジタン(レイボー)はトリプタンに次いで優れた鎮痛作用を示します。血管収縮作用はありません。ただし、めまいや眠気といった副作用が顕著のため、内服の方法には注意が必要となります。

実際の頭痛診療では、患者さんの痛みの強さや頭痛が起こるタイミング、痛みが持続する期間などを、頭痛ダイアリーを参照して評価します。そして個々の薬の作用の強さや作用時間、副作用といった特質を考慮して、適切な治療薬の組み合わせを検討します。

















