片頭痛の新規予防薬について(CGRP関連薬)
片頭痛の新規予防薬である、抗CGRP抗体製剤;エムガルティ®︎(一般名カルカネズマブ)、アジョビ®︎(一般名フレマネズマブ)、抗CGRP受容体抗体製剤;アイモビーグ®︎(一般名エレヌマブ)が使用可能です。片頭痛が強く、日常生活や仕事、家事に支障をきたす方が対象となります。
今までの片頭痛予防薬と違い、片頭痛を起こす物質のうちで主役といわれるCGRP(カルシトニン遺伝子関連ペプチド)を標的として開発された、モノクローナル抗体といわれる薬です。片頭痛に対して、特異的な作用があると考えられています。
片頭痛の原因のひとつとされる物質を特にターゲットとしており、数か月以上にわたり毎月の片頭痛の日数が多い方、慢性に片頭痛が続いている方に適応があります。内服の片頭痛予防薬に比べて、早く効果が現れることも特徴です。4週間または1か月に1回の皮下注射で、頭痛のおこる日数が減ることや、頭痛の辛さが軽くなって生活改善につながることが期待できます。
薬の開始に際しては、専門医による診察・MRIなど適切な検査で片頭痛と診断されること、頭痛ダイアリーや頭痛アプリ(頭痛管理プログラムをお勧めしています)などで頭痛の日数や程度を確認する必要があります。
当院では、オンライン診療による在宅自己注射にも対応しています。片頭痛が強かったり痛みが頻回にあるけれども、仕事や家事などが忙しくクリニックまで定期的に受診することが難しいと思われるようでしたら、一度当院でご相談ください。
効果には個人差があり、必ずしも著効しないこともあります。その場合、他の抗体製剤への変更が効果を示すことがあります。また、内服片頭痛予防薬を上手く組み合わせることで、良好に頭痛をコントロール出来ることが多いと感じています。
新しい抗体製剤であり薬価はやや高いため、今までの予防薬が効かなかった方や、予防薬が副作用で続けられなかった方が保険診療の対象です。