片頭痛の「予兆」を知っていますか?
・頭痛の前に起こる「予兆」とは -頭痛が始まる前のサインに注目-
片頭痛は、突然頭が痛くなるだけの病気ではありません。実は多くの患者さんで、頭痛が始まる数時間前から「なんとなくいつもと違う」と感じるサインが現れることが知られています。これを「予兆(前駆症状)」と呼びます。
代表的な予兆としては、吐き気・疲労感・光への敏感さ・首のこりや痛み・めまい・集中力の低下などが挙げられます。「片頭痛の前は決まってこんな感じになる」と気づいている方も多いのではないでしょうか。

・「早めに飲む」は正しい? -頭痛薬の飲みすぎに注意-
「頭痛が来そうだと感じたら早めに薬を飲む」という方は少なくありません。確かに、痛みが強くなってから薬を飲むよりも、軽いうちや頭痛が始まった直後に飲む方が効きやすいことは、医学的にも示されています。
ただし、注意していただきたいのが「薬の飲みすぎ」の問題です。頭痛薬(とくにトリプタン製剤や鎮痛薬)を月に10日以上、または頭痛のたびに繰り返し服用していると、薬そのものが頭痛を引き起こす「薬剤の使用過多による頭痛(MOH)」に発展してしまうことがあります。予兆の段階から毎回薬を飲んでいると、この状態に陥りやすくなるため、十分な注意が必要です。
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・注目される新しい片頭痛薬「ゲパント」
近年、「ゲパント」と呼ばれる新しいタイプの片頭痛薬が登場しています。この薬は、片頭痛の発症に深く関わる「CGRP」という物質の働きをブロックすることで効果を発揮します。
ゲパントの大きな特長のひとつは、従来の薬と比べて「薬剤の使用過多による頭痛」が起きにくいと考えられている点です。一方で、トリプタン製剤のように短時間で強力に効くというよりは、効果の発現がおだやかな薬とされています。
そこで研究者たちが注目しているのが、「予兆の段階でゲパントを服用する」というアプローチです。海外では、この方法によって強い頭痛への移行を抑えられる可能性を示した臨床試験の結果が報告されており、片頭痛治療の新たな選択肢として関心が高まっています。

・これからの検討課題
日本では現在、ゲパントの一種である「リメゲパント」が使用できますが、予兆の段階での服用は現時点では保険診療の適応外となっています。また、日本人を対象とした予兆期投与のエビデンスもまだ十分に蓄積されていないため、今のところ自己判断での服用タイミングの変更をお勧めするものではありません。
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・まずはご自身の「予兆」を記録してみましょう
予兆に気づくことは、片頭痛と上手に付き合うための第一歩です。「頭痛ダイアリー」などを活用して、頭痛が起きる前にどのような症状があったかを記録しておくと、受診の際にとても役立ちます。
治療のタイミングや薬の選択については、必ず医師にご相談ください。一人ひとりの頭痛のパターンに合わせた治療を考えていくことが大切です。
参考:Headache. 2025;65:1355–1368. Lancet 2023; 402: 2307–16.















