認知症の新しい薬はいつから使える?
アルツハイマー型認知症に対する初めての根本的な治療薬が、米国食品医薬品局(FDA)で承認されました。
アルツハイマー病(アルツハイマー型認知症)は、脳にアミロイドβという異常なタンパク質が蓄積することから始まります。それに引き続いて起こる脳神経の異常によって、神経細胞が脱落して脳萎縮が起こってきます。それに伴って、もの忘れ、日にちや場所の感覚があやふやになる、段取りがうまくできない、今までできていた作業ができなくなる、などの症状が徐々に進んでいきます。
今回のアデュカヌマブという治療薬は、脳内のアミロイドβを減少させることで認知症の進行を遅らせる作用があります。認知症の方の症状を改善させるための薬は、今までも数種類あり日常診療で使われていますが、これらはどれも対症療法に留まるものです。アルツハイマー型認知症という病気自体を治療する薬はこれが初めてで、世界中で待ち望まれているものです。
ただし、今回のFDAの決定は迅速承認というもので、今後新たな臨床試験で有効性を確認することが条件となっているようです。ですので、日本で実際に認知症の患者さんにこの薬を投与できるのはまだ先のことになりそうです。
米FDA アルツハイマー病治療薬・アデュカヌマブを迅速承認 臨床的ベネフィットの明確化で追加的RCT要求 | ニュース | ミクスOnline
薬はまだでも、認知症を予防したり進行を遅らせる方法はいろいろあることが分かっています。高血圧症や糖尿病、肥満など生活習慣病の管理が重要です。日常生活の活動性を維持することや、運動する習慣を続けることが勧められます。喫煙やアルコール多飲にも注意が必要です。頭部を強打することは避ける方が良いです。意外に思われるかもしれませんが、難聴を放置することは認知症の大きなリスクになります。
このような予防策をするのに遅すぎるということはなく、予防策を十分にとることで認知症の40%は予防できるできる可能性があるといわれます。お歳をとっても、できるだけ社会や人とのつながりを保つようにして、手を使ったりものを考えたりする習慣を続けるのが良いです。できるだけ歩くこと、体を動かすことを心掛けましょう。高血圧症や糖尿病の通院はしっかり続ける必要があります。耳が遠くなったと感じる方は、早い目に耳鼻科へ受診されることをお勧めします。